「月3000円何も買えぬ」元入所者待遇に不満

2月3日6時14分配信 河北新報

 「自分の生活保護費なのに受給額も聞かされない」「東京で路上生活していたら“スカウト”されて入所した」。アルコール依存症者更生施設を営む仙台市の「ひかりあれ東北」が入所者の通帳を管理している問題で、複数の元入所者らが河北新報社の取材に対し、待遇面の不満や入所の経緯について証言した。

 「お酒やめませんか。食事があって、風呂も入れますよ」

 50代の元入所者の男性の話では、2003年、東京都の上野公園で野宿し、ベンチで酒を飲んでいたところ、男性から声を掛けられた。北海道の施設に連れてこられ、生活保護費の給付を申請して受給。その後、仙台の施設に移った。

 男性によると、保護費が振り込まれる口座の通帳は施設に管理され、月3000円だけ渡される。もともとの受給額は分からず、いくら差し引かれているのかも知らない。「通帳は見たことがない。住居があって3食を食べられ、風呂も入れたが、3000円では何も買えなかった」と振り返る。

 「外出も制限され、2人か3人でないと出られなかった」と不満を募らせ、08年春に施設を飛び出したという。

 入所者の別の男性も元路上生活者。「東京の新宿の路上で男性から入所を勧められ、ここに来て生活保護を申請した」

 男性は「自分はアルコール依存症ではないが、(依存症と申告しないと)生活保護が受けられず、施設に入れないのでそう申告した」と言う。

 「支給は月3000円。言いなりになっている」とも証言。「仕事を探しに行きたいが、探せば施設を出なければならないと言われる」と話した。

 ほかの入所者も「東京で『メッセンジャー』と言われる男性に声を掛けられた」という。「アルコール依存症で、酒をやめたかったので進んで来た。酒を抜くことができ、ありがたい」と施設には感謝している。

 ただ「支給が3000円だけというのは不満。役所からもらった金なのだから、差引額の明細ぐらいは教えてほしい」と求めた。

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