オスカーに沸くロケ地・庄内…舞台の銭湯「お客も増えた」

2月24日0時46分配信 読売新聞

 山形県酒田、鶴岡市など庄内を中心に撮影された映画「おくりびと」が、アカデミー賞の外国語映画賞に輝いた。

 日本映画史に残る快挙に、作品のロケを支えた市民や県内の映画ファンから大きな歓声が上がった。

 23日、酒田市中町の飲食店で授賞式のテレビ中継を見守ったNPO法人「酒田ロケーションボックス」のメンバーらは、午後1時頃に受賞が発表されると、くす玉を割り、万歳を繰り返した。「本当にうれしい。俳優とスタッフの息がぴったり合った映画だった」などと、店内は祝福ムードでいっぱい。同NPOの市村浩一事務局長(48)は「今後も、映画に登場した風景を守っていきたい」と表情を引き締めた。

 一方、作品に登場した鶴岡市内の銭湯「鶴乃湯」では、公開後、撮影時の様子を聞きに来る客も増えたという。番台にも立つ三谷享子さん(67)は「ただ『うれしい』の一言。出演者、スタッフの方々が頑張って撮影している姿をそばで見ていたので、うれしさもひとしお」と喜んだ。

 作品の脚本を手がけた放送作家・小山薫堂さん(44)は、4月から東北芸術工科大(山形市)の企画構想学科長に就任する。米ロサンゼルスの授賞式会場から同大を通じ、「自分にとって最高の『サプライズ&ハピネス』。今後も、学生と新しいものを生み出す喜びを共有したい」とコメントした。

 主演の本木雅弘さんらに納棺の技術指導をした納棺協会山形営業所(鶴岡市)の佐々木昭栄所長(38)は「私たちの仕事が全世界に伝えられたのかと思うと、目頭が熱くなった」と感激していた。

 また、主人公が所属した楽団の指揮者として出演した山形交響楽団の飯森範親・音楽監督(45)は、「本木さんがチェロを猛練習する姿にプロ根性を感じた」などと受賞を喜んだ。ノミネート後、滝田洋二郎監督から「受賞できたらいいんだけど」と打ち明けられたという。

 阿部寿一酒田市長は「受賞は市民の応援と滝田監督ら関係者の努力の結晶。古里の美しさが評価され、うれしい」、まだ作品を見ていないという富塚陽一鶴岡市長は「ぜひ見てみたい」とそれぞれ述べた。

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