住宅街に冷泉が出た!…かけ流し、口コミでじわり人

2月23日7時8分配信 読売新聞

 水戸市中心部にほど近い住宅街で、井戸を掘る作業中に冷泉が見つかり、昨年12月に入浴施設「夢の湯」がオープンした。

 主人は「こぢんまりとやりたい」と一切広告を出していないが、市内からの客を中心に口コミでじわじわと人気を集めている。

 同市北見町の会社「茨城青写真製本」の社長鴨志田徳二さん(65)は2006年12月、店舗の新築に合わせて駐車場で井戸を掘っていたところ、塩水がわいた。周囲には硫黄のような香り。同社の従業員鈴木ちよ子さん(57)がピンと来て、県薬剤師会公衆衛生検査センターに検査を依頼すると、炭酸水素ナトリウムを主成分とする冷鉱泉と判明した。

 栃木や福島の温泉によく通っていた鴨志田さんは喜んだが、同時に「お風呂の好きな人にも楽しんでもらえたら」と考え、翌07年夏から昨年末まで、従業員5、6人がかりでコツコツと手作りで平屋の施設を建てた。

 6~7人が入れるほどの浴室は、ヒノキ風呂と、シイタケの原木を敷き詰めた壁で山小屋の雰囲気を醸し出す。16・5~18度の冷泉をガスで沸かし、42度ほどのかけ流しにしている。

 水戸で45年複写業を営んできた鴨志田さん。「商売目的ではないから」と、オープン後も宣伝はなし。だが、もの珍しさから、のぞいた客が泉質の良さに納得し、通うようになってきた。

 何より楽しんでいるのは、妻幸子さん(60)。身体に障害があり療養しているが、週末になると鴨志田さんの介助で入浴する。幸子さんが以前、習字で「夢」と書いた掛け軸が自宅に飾られていることから、施設を「夢の湯」と名付けた。

 鴨志田さんは「気軽に来られて、楽しめるお風呂になれば」と話している。

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