12月19日18時15分配信 金沢経済新聞
金沢国際交流財団(金沢市本町1、TEL076-220-2522)は12月14日、金沢市民芸術村(金沢市大和町)で「多文化共生のステージin金沢」を開催した。
世界各国から金沢に集まった外国人の持つ多様な文化を市民と共に肌で感じ、金沢の未来を考えたいと、同財団が設立20周年を記念して企画したもの。チケットは完売し市民280人が参加した。
オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の演奏に織り交ぜながら、金沢在住の外国人が寄せたメッセージが紹介され、来場者は美しい音色に聴き入りながら多文化への理解を深めた。OEKのエンジェルコーラスと外国人の子どもたちによる合唱では、文化の壁を越えた一体感のあるステージが聴衆を魅了した。
「春・夏・秋・冬」をテーマとした4部構成のプログラムでは、ビバルディの四季の楽曲をベースに、クライスラーの「愛の喜び」やモンティの「チャールダッシュ」、マスネの「タイスの瞑想曲」などを盛り込んだ演奏とともに、金沢の四季の風景と外国人のメッセージがスクリーンに映し出された。
スクリーンでは、ブラジル・中国・ハンガリー・韓国・台湾・パレスチナ・エチオピア・アメリカなど出身の外国人から見る「金沢の印象」「金沢で好きな場所」「戸惑ったこと」「うれしかったこと」「今後期待すること」などを紹介。金沢の印象については、「昔の街並みが残っているところがいい」「道が狭く細い」など、好きな場所は「武家屋敷」「卯辰山からの眺望」「温泉」などが挙げられた。驚いたこと、戸惑ったことでは「病院や子どもの学校で言葉が通じず苦労した」「街中はきれいだが自然の中にゴミが多い」など思い思いの感想が寄せられた。
金沢市に住む外国人は年々増え、20年間で倍以上の現在4,271人、市民の100人に1人の割合となった。留学生の交流イベント「ジャパンテント」「国際交流まつり」「国連大学のユニット開設」など積極的な国際交流の取り組みを行っている。
同財団では「世界各地で戦争や紛争が絶えない現代で、在住外国人を『隣人』ととらえ、金沢で息づく多様な文化が共生するために市民が行動を起こし、真の平和社会を築くことにつなげたい。ステージを通して、同じ地域社会に暮らす『多文化の隣人』と共に生きる大切さや、未来は『自ら創造すること』を市民と共有したい」としている。