7月10日16時0分配信 産経新聞
もうすぐ夏休み。子供が自宅で過ごすのに、保護者がどうしても外出しなければならない場合、「留守番をさせて大丈夫?」という悩みが聞かれる。なるべく安全に留守番させるには、どんな点に気を配ればいいのか。専門家や留守番をさせた経験がある母親らに聞いた。(津川綾子)
≪親子でルールづくり≫
東京都江戸川区の母親(40)は6月下旬、乗っていた電車が突然止まり、急遽(きゅうきょ)、小学2年の娘(7)を1人で留守番させることになった。「留守中、誰か来ても玄関に近づかないようにと約束したが、ちゃんとできるかどうか、そんな指示でよかったのか」と不安を感じた。
サンケイリビング新聞社(東京)が平成17年、中学生以下の子供を持つ女性441人に「子供の生活の中でどこに不安を感じるか」を聞いたインターネット調査で、「留守番中」との答えが32・8%と意外に多かった。これから夏休みを迎えれば、「どうしても」という用事で保護者が外出し、子供が留守番をする事態も想定しておかなければならない。留守番中の安全は、どのような点に注意すべきなのか。
〈ピンポーン、玄関のチャイムが鳴る。「ママが帰ってきた」とドアに駆け寄り、カギを開けようとする留守番の女の子。のぞき穴から見るとゆうびん屋さんのようだ。果たしてどう対処するのか…〉
これは、防犯絵本「白いおばけのスー おるすばん、危機一髪!」(フレーベル館)のワンシーン。
監修したのは警備会社「セコム」(渋谷区)。子供の防犯事情に詳しい同社IS研究所(三鷹市)の舟生岳夫研究員に、安全なお留守番のポイントを聞くと、「これをやれば絶対安全という王道はない。母親が普段いる家庭でも、急な用事に備え、留守番中に子供が勝手に判断しないよう、親子でルールを決めておくことが大切」と強調した。
≪駆け込み先も確保≫
親子で話し合うべき点は大きく3つある。(1)訪問者や電話に対応するのかどうか(2)対応する場合の言い方や手順(3)非常時に、誰にどう連絡を取るのか-だ。
先の絵本には対応する場合の例として、「だれかがたずねてきたら『どちら様(さま)ですか?』と必(かなら)ずきく」「ドアは開(あ)けない」「知(し)っている人(ひと)でも『お母(かあ)さんはすぐ帰(かえ)ってきます。後(あと)で来(き)てください』と言(い)う」と紹介している。
しかし、「留守中はピンポンと玄関の呼び鈴が鳴っても出ないように言ってある」(豊島区の自営業、息子が小学4年)など訪問者に対応させないようにしている母親は少なくない。
子供がうまく対応できない場合はそれも一つの手だが、舟生さんは「空き巣狙いの犯罪者は、電話や呼び鈴で不在を確認することがある。可能なら子供と普段から対応を練習し、玄関は開けずに『お母さんはトイレです。後で出直して』などと対応するほうがいい。対応しない場合は、近隣の信頼できる知人宅をいざというときの駆け込み先とするなど対策が必要」とアドバイスする。
■子供の不安取り除いて
留守番は絵本や童話のモチーフになるほど冒険にも似て、子供をちょっぴり不安な気持ちにさせる。
なるべく留守番中の不安を減らそうと工夫する人もいる。東京都豊島区の女性会社員(40)は、「風呂場が暗くて怖い」という小学3年の長男(9)のため、出勤前に必ず風呂場の扉を閉めてくるようにし、「おばけに似ている」と怖がる竹製ののれんを外した。何より「もし、帰宅予定の時間を過ぎるなら一本電話をしてあげるといいでしょう」(セコムIS研究所の舟生岳夫さん)。留守番電話にしておき、「お母さんだよ」と合図を送れば電話に出るよう、親子で打ち合わせておけば携帯電話がなくても大丈夫だ。